「セイロンティー」は、世界各地で親しまれているスリランカ産の紅茶です。
セイロンティーには、さまざまな種類があるということをご存じでしょうか。
今回は、セイロンティーについて、その種類や特徴を紹介します。
セイロンティーの魅力を知って、自分なりのアレンジで楽しんでみてください。
セイロンティーとは?
セイロンティーとは、スリランカで栽培・製造された紅茶の総称です。
セイロンという名称は、スリランカの旧国名である「セイロン国」からきています。
スリランカは世界でも有数の紅茶生産大国です。
年間生産量は24万トンを超え、その約96%が世界に輸出されています。
セイロンティーの特徴
セイロンティーにはさまざまな種類があり、産地ごとに異なる味や香りを楽しめます。
同じ種類の茶葉でも、栽培される標高によって風味が変わることが、セイロンティーの特徴です。
セイロンティーの特徴としては、基本的にクセが少なく、飲みやすいことが挙げられます。
また、セイロンティーの品質は、世界的に見てもトップクラスです。
スリランカでは、茶の栽培から製造まで、全ての工程を厳しい基準で管理することによって、紅茶の品質を維持しているのです。
スリランカで生み出された純正のセイロンティーには、政府運営の紅茶局が認定した証の「ライオンロゴ」が付けられています。
参考:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC
セイロンティーの歴史とは?
世界中で高く評価され、人気を集めているセイロンティー。
その歴史は約150年前にまで遡ります。
当時は、イギリス植民地であったインドで、紅茶の栽培が成功を収めていました。
そして、紅茶の生産量を増加させるために、同じくイギリス植民地であったスリランカが、次なる紅茶の生産地として選ばれたのです。
スリランカの温暖な気候が茶葉の生育に適していたことから、紅茶の生産規模は急拡大を遂げます。
その品質の良さが世界で評判となり、現在のセイロンティーにも受け継がれているのです。
標高によるセイロンティーの違い
セイロンティーは、茶葉が栽培されている標高によって、呼び方や味が異なります。ここから、標高ごとのセイロンティーの特徴について見ていきましょう。
スリランカでは、7つの生産地を標高によって3つに分けています。
茶園の標高 |
主な産地 |
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ハイグロウン【高地】 |
1,200m~2,000m |
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ミディアムグロウン【中地】 |
600m~1,200m |
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ローグロウン【低地】 |
600m以下 |
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ハイグロウン【高地】
標高1,200m以上で生産された紅茶は、「ハイグロウンティー」(High grown tea)と呼ばれています。
ハイグロウンは、昼夜の気温差が大きく、霧が出ることも多い地域です。
このことが、紅茶の繊細な香りを作り出すのに役立っています。
茶葉の種類は豊富ですが、全体的に深いコクや渋みがあります。
また、花のような繊細な香りと、オレンジがかった水色が特徴です。
高級茶に区分されているハイグロウンティーは、紅茶にこだわりがある方におすすめです。
セイロンティー本来の風味を、ストレートでしっかり楽しみたい方にもぴったりですよ。
ミディアムグロウン【中地】
標高600m~1,200mで生産された紅茶を「ミディアムグロウンティー」(Medium grown tea)と呼びます。
ミディアムグロウンは、比較的穏やかな気候が特徴の地域です。
茶葉はやや暗めの褐色で、抽出すると鮮やかな赤い水色の紅茶になります。
芳醇な香りと、まろやかでコクのある風味が特徴です。
クセがなくバランスのとれた味わいで飲みやすく、アイスティーやブレンドティーにもよく使われています。
ローグロウン【低地】
標高600m以下で生産された紅茶が「ローグロウンティー」(Low grown tea)です。
スリランカにおける紅茶生産量の約半数は、このローグロウンティーが占めています。
ローグロウンティーは深い赤みのある水色で、どっしりとした濃厚な味わいを楽しめます。
また、ローグロウンティーは甘みがあることが特徴です。
ミルクや砂糖をプラスして、濃厚なミルクティーを楽しみたい方にぴったりですよ。
控えめな香りであることから、スパイス香るチャイティーにも向いています。
また、フルーツティーとして使用したい方にもおすすめです。
セイロンティーを代表する7つの産地
標高ごとに呼び名が異なるセイロンティーは、生産地が豊富なのも特徴です。
セイロンティーには、「セイロン・セブン・カインズ」(Ceylon Seven Kinds)と呼ばれる有名な7つの産地があり、それぞれ異なった特徴を持っています。
ここから、セイロンティーを代表する7つの産地について見ていきましょう。
ウバ(Uva)
ウバはダージリンとキームンと並んで、世界三大銘茶の一つとされています。
山岳の南東部にあり、標高は約1,800mに位置する地域です。
清涼感たっぷりな香りは「ウバフレーバー」とも呼ばれ、特にクオリティーシーズンである7月〜8月にウバで生産された茶葉は、ミント系の香りが際立ちます。
力強い風味を持つことも特徴で、ウバはストレートやミルクティーで飲むのがおすすめです。
良質なウバの茶葉であれば、カップに注いだときカップに沿ってオレンジ色に縁取りされる「ゴールデンリング」も生まれます。
ヌワラエリア(Nuwara Eliya)
標高約1,800m以上のところに茶園があるヌワラエリアは、スリランカの中で最も標高が高い生産地です。
昼夜の気温差が大きいことから霧がよく発生し、この環境が繊細な風味を生み出しています。
また、茶葉の周りで育つユーカリやミントの影響もあって、爽やかな紅茶の香りを持つことから「セイロンティーのシャンパン」と称えられています。
明るいオレンジ色の水色が華やかで、クオリティーシーズンの1月〜3月に生産された茶葉は、この特徴が際立ちます。
適度な渋みがあり、緑茶に似たフレッシュな味わいも感じられるため、ストレートティーで楽しむのがおすすめです。
ディンブラ(Dimbulla)
標高約1,200m、山岳の西側に位置しているディンブラ。
すっきりとした味わいと華やかな香り、そしてルビー色に輝く水色が特徴です。
味と香りのバランスが整っているため、正統派の紅茶として知られています。
強いクセがなく、さまざまなバリエーションの飲み方で楽しめるでしょう。
12月〜2月に出荷されるディンブラの茶葉は「セイロン茶の王者」と称えられるほど評価が高いです。
この時期のディンブラの茶葉は、バラや柑橘系の芳醇な香りが際立ち、キレのいい渋味が特徴となっています。
キャンディ(Kandy)
キャンディはセイロンティー発祥の歴史深い地です。
標高約600mに位置するため、季節風の影響を受けにくく、安定した茶葉の生産を進めることができます。
穏やかな渋みと、まろやかなコクのバランスが良好です。
紅茶は明るいレッド系の水色で、ほんのり甘いフレーバーを感じられます。
キャンディの茶葉は強いクセがないため、アレンジティーにも重宝します。
また、紅茶が白く濁る現象の「ミルクダウン」を起こしにくく、アイスティーにもぴったりですよ。
ルフナ(Ruhuna)
スリランカの南に位置する、標高300m前後の生産地です。
スリランカにおいて最も標高が低い生産地で、高温多湿な気候になります。
温暖な気候であることから茶葉の成長が著しく、茶葉も他の産地より大ぶりです。
ルフナの紅茶は力強さがあり、濃い赤茶系の水色をしています。
濃厚な味わいと、スモーキーな風味が個性的です。
コクが強いルフナは、ミルクや砂糖を加えると一気にまろやかな味わいに変わります。
砂糖を焦がしたような独特の香りがあるため、ミルクティーに良く合いますよ。
サバラガムワ(Sabaragamuwa)
サバラガムワは、数年前まではルフナとされていた場所です。
標高や気候がルフナと異なることから、ルフナとは異なる産地として新たに誕生しました。
日差しが強い熱帯雨林気候であるサバラガムワは、周辺にジャングルが広がっています。
水色は濃い真紅で、深いコクとキャラメルのような甘い香りが特徴です。
濃厚な味わいのサバラガムワは、ルフナと同じくミルクティーにぴったり。
しっかりとした強さが感じられる味わいですが、スモーキーな風味はルフナより控えめです。
ウダプッセラワ(Uda Pussellawa)
ウダプッセラワは「ウダプセラワ」とも呼ばれています。
標高は1,500mほどに位置する産地で、ヌワラエリアとウバの中間あたりの地域になります。
もともとウダプッセワラは、ヌワラエリアまたはウバとして分類されていた茶葉です。
しかし、風味がどちらとも異なることから新しく独立して誕生しました。
ウダプッセワラで生産された茶葉は、さっぱりとした喉ごしの良さが特徴です。
ほのかなメントールの香りを楽しめるストレートのほか、その爽快さを生かしたアイスティーもおすすめです。
セイロンティーの美味しい飲み方は?
比較的クセが少なくどなたでも飲みやすいセイロンティー。
コクと渋みのバランスが良好なセイロンティーだからこそ、紅茶本来の味わいをダイレクトに感じるストレートで飲んでみてはいかがでしょうか。
セイロンティーはストレートティー以外にも、ミルクティーやブレンドティーにアレンジするのにも向いています。
特に、コク深さのあるセイロンティーはミルクとの相性も抜群です。
「ウバ」「ディンブラ」「ルフナ」などの産地の茶葉は、紅茶の色が濃く、コクが強いという特徴があります。
そのため、ミルクティーはもちろん、煮出してチャイにしたりなどアレンジしても美味しく飲めるでしょう。
セイロンティーの淹れ方
クラシックなセイロンティーであれば、ベーシックな淹れ方がおすすめです。
できるだけ熱いお湯を注ぎ、茶葉が持つ風味を存分に引き出しましょう。
- 汲みたての水道水を沸騰させます。
- ティーポットとティーカップにお湯を注ぎ、全体を温めておきます。
- 温めたポットに、ティースプーン1杯(2g~3g)を1人分として、人数分の茶葉を入れます。
- 沸騰後、お湯を一気にポットに注ぎます。
- 蒸らし時間の目安は、細かい茶葉なら2分半〜3分、大きな茶葉なら3分〜4分です。
- カップに最後の1滴まで注ぎ分けます。
まとめ
今回はセイロンティーの種類や特徴について紹介しました。
セイロンティーは、生産地の標高によって異なる味わいが楽しめます。
個性豊かなセイロンティーを手に入れて、よりディープな紅茶の世界を味わってみてはいかがでしょうか。