紅茶の生産地といえば、インドやスリランカなどがよく知られていますが、実は日本でも作られている紅茶があります。国産の紅茶を総称したものが「和紅茶(わこうちゃ)」です。
今回は、和紅茶について、その特徴やおすすめの飲み方などを紹介します。「和紅茶の味わいは?」「海外産の紅茶となにが違うの?」など、気になる疑問についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
和紅茶とは?
「和紅茶」とは、その名の通り、日本で作られた紅茶のことを意味します。
日本で育った茶の樹を使って、日本で紅茶に加工されたお茶の総称です。「国産紅茶」「日本紅茶」「地紅茶」と呼ばれることもあります。
和紅茶の特徴とは?
一般的に和紅茶は、渋みが少なめで、味や香りは落ち着いていて、全体的に繊細な特徴を持っています。
ただし、生産地や生産者によって和紅茶の特徴は大きく変わってくるため、一概にはいえません。
海外紅茶のように渋みを持つものもありますし、フルーツの香りのもの、花のような香りのものなど、和紅茶は生産者によってさまざまな個性を持ちます。
和紅茶は渋味が少ないため、砂糖やミルクを入れなくてもストレートで美味しく飲めて、お菓子だけでなく食事にもピッタリです。
また、日本国内で生産されているので、おいしい紅茶を新鮮なうちに届けられるのもメリットといえます。
和紅茶の味わいは?
和紅茶の味わいは、一般的にマイルドで後味スッキリな傾向にあります。
日本全国で、その土地ごとの気候や土壌で育った茶葉で作られる和紅茶は、非常に個性豊かです。毎回収穫ごとに、味わいが異なります。
一期一会となる和紅茶の味わいですが、共通する特徴としては、柔らかな甘みを感じるという点です。
和紅茶と外国産紅茶の違いとは?
和紅茶と海外産紅茶の違いは、和紅茶は日本特有の四季豊かな風土で育った茶葉を使っていることです。
海外と同じ種類の茶樹から作られていても、日本の気候風土の影響を受け育つため、和紅茶は日本独自の味わいをもちます。
インド産やスリランカ産など、海外産紅茶の多くは「アッサム種」で、大きく厚みのある葉で作られます。海外産紅茶は、色が濃くハッキリとした香りが特徴です。
日本国内で生産される和紅茶は、海外産紅茶とは違って、自然で柔らかな風味を味わえるのが特徴です。
また、日本の土壌で育ち、日本人が「美味しい」と思う味わいを目指して作られた和紅茶は、日本人好みの味になることが期待できます。
和紅茶は、海外産紅茶と比較して香りや味わいが柔らかなことから、紅茶の渋みが苦手な方にもおすすめです。
和紅茶の歴史
日本で紅茶の生産が始まったのは戦後すぐのことです。
敗戦による深刻な食料不足の中で、いち早く回復することができたのは農業でした。
日本は茶葉を栽培して紅茶を作り、海外へ輸出することによって、敗戦国となった日本を復興へと導いたのです。
このような背景から、和紅茶は世界中に流通していくことになりました。しかし、世界的な紅茶ブームが到来すると、インド産やスリランカ産の安価な紅茶が、世界各地のニーズを満たすようになりました。
強力なライバル出現によって、和紅茶は海外の紅茶と比べて「高価」であると評価されることが多くなり、次第に紅茶市場から和紅茶の存在は小さくなっていったのです。
そのため、ライバルが多い紅茶で勝負するよりも、高品質で日本らしいイメージが付きやすい緑茶や抹茶などに力を注ぐ方が効率的という流れが、日本国内で拡散されました。
しかし、近年では日本の紅茶にしかない繊細さが、世界的に注目されることも多くなっています。
和紅茶の品種は?
和紅茶に使用されている樹木の品種の多くは「べにふうき」です。ほかにも「べにひかり」「べにほまれ」「ただにしき」などがあげられます。
ここから、和紅茶の品種の特徴を見ていきましょう。
べにふうき
べにふうき(紅富貴)は和紅茶の代表格。
日本で生まれた茶葉の品種で、インド系アッサム種が元になっています。紅茶特有の渋みをしっかりと感じられる味わいです。
香気成分を豊富に含んでいるため、その華やかな香りも魅力的。どっしりとした旨味とコクもあります。
ストレートで楽しむのはもちろん、ミルクを入れても負けない力強さを感じられる品種です。
静岡や島根、九州各地で生産させており、発酵の具合によって味や香りに違いが生まれるため、茶園ごとの違いを楽しめます。
べにひかり
べにひかりは、日本で開発された紅茶用の品種です。
緑茶を思わせるシャープですっきりとした渋みと旨味が楽しめます。鼻に抜ける清々しい香りも、べにひかりの特徴といえます。
すっきりとした渋みや旨味を楽しむなら、ストレートでいただくのがおすすめです。
お茶を淹れた際の色が鮮やかなべにひかりは、夏場はアイスティーにも適しています。
べにほまれ
べにほまれは、日本初の紅茶専門品種です。
じっくりと蒸らすことによって、べにほまれ特有の甘い香りが引き立ちます。インパクトのあるたくましい香味、重厚感のある味わい、そしてワインのような褐色の見た目が特徴です。
コクのある深い味わいはミルクとの相性と抜群。砂糖を加えることによって、どっしりとしたボディを楽しめます。
ただにしき
ただにしきの名前の由来は、アッサム地方から紅茶の種子を持ち帰った「多田元吉」という人物の名。
インド系アッサム種の種子を、日本国内で何度も改良しているただにしきは、アッサム種特有の味わいを残しながらも、渋みや香りを抑えた飲みやすい仕上がりが特徴です。
現在ただにしきは、希少価値の高い品種で、ただにしきを栽培している農園はごく一部に限られています。
和紅茶の成分と効能
ここから、和紅茶に含まれる主な成分と、それによってもたらされる効能について紹介します。
タンニン
紅茶には、タンニンが多く含まれています。タンニンはポリフェノールの一種です。渋味を感じる成分として知られています。
タンニンは強い抗酸化作用を持っているため、生活習慣病を防ぐ効果が期待されています。また、活性酸素の働きにより体内の酸化を防ぎ、ガン予防や老化防止など、さまざまな効果があるといわれています。
さらに、タンニンに抗菌作用があるとされていることから、紅茶を風邪予防に取り入れることも多いです。
テアニン
テアニンは、たんぱく質に含まれているアミノ酸の一種です。テアニンは紅茶の甘みを左右している成分であり、甘みを感じるお茶には、より多くテアニンが含まれていることが分かっています。
テアニンは脳内神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」の分泌量を整えてくれることから、リラックス効果を引き出してくれる成分として有名です。
また、テアニンはストレスホルモンである「コルチゾール」に働きかけることができ、その結果として、ストレスの軽減につながるという研究結果も発表されています。
カフェイン
紅茶に含まれるカフェインには、脳を覚醒させて集中力を高めるという効果があります。
適度なカフェインの摂取は頭が冴え、疲労を回復させる効果があることが分かっています。また、血流を促すことから、利尿作用によるむくみ予防の効果も期待できます。
【和紅茶のカフェイン量は?】
和紅茶も、海外産の紅茶と同様にカフェインは含まれます。お茶に含まれるカフェイン量には個体差がありますが、農林水産省からは以下の目安が出ています。
- コーヒー 0.06 g/100 mL
- 紅茶 0.03 g/100 mL
和紅茶のカフェイン量は、一般的な紅茶と同様に、コーヒーの約半分といえそうです。
参考:農林水産省 カフェインの過剰摂取について
ビタミン類
紅茶には、新陳代謝を整えて身体の成長をサポートする、ビタミンA・B・E・Pが含まれています。
ビタミンBは紅茶により多く溶け出している成分で、あらゆる栄養素の代謝を助けています。ビタミンPは高血圧予防に効果を発揮します。
和紅茶のおすすめの飲み方
海外産の紅茶に比べて、和紅茶は渋味やコクが少ないため、その繊細な味を楽しむために、砂糖やミルクは入れず、ストレートで飲むことがおすすめです。
和紅茶の性質は製品によってさまざまですが、まずは一般的な紅茶と同じように淹れてみましょう。
基本的な紅茶の淹れ方
【用意するもの】
- 茶葉
- 水
- ポット
- カップ
【紅茶の淹れ方6ステップ】
- お湯を沸かす
- カップとポットを温める
- ポットに茶葉を入れる(分量は1杯につきスプーン1杯が目安)
- ポットにお湯を注ぐ
- 茶葉を蒸らす
- 紅茶をカップに注ぐ
和紅茶をおいしく淹れるポイント3つ
- 汲みたての水道水を使う
- 水道水を沸騰するまでしっかり沸かす
- リーフの状態を見て蒸らす時間を決める
基本的には、汲みたての水道水を使って、水道水を沸騰するまでしっかり沸かし、製品のレシピ通りに淹れるだけで、おいしく淹れることができます。
ただし、リーフの状態をしっかりと見ることが大切です。
リーフが細かい場合は短時間で抽出し、リーフが大きければ少し時間をかけて抽出すれば、より渋みが抑えられて、紅茶の旨みがわかりやすくなりますよ。
蒸らす時間は、細かい茶葉の場合は2分半~3分ほど、大きい茶葉の場合は3分~4分くらいが目安です。
数ある和紅茶の中でも【五ヶ瀬 やまなみ 茶葉タイプ】は、おすすめできる日本産紅茶のひとつです。
五ヶ瀬やまなみ紅茶の味わいは、ほんのりビターな香味の輪郭の後に、甘香がふわりと香ります。
五ヶ瀬の澄んだ土地に作り手の技が寄り添い生み出した、親しみ深い香りの紅茶を試してみてはいかがでしょうか?
↓【五ヶ瀬 やまなみ 茶葉タイプ】はこちら↓
https://lemuria-jp.com/products/7880581054680
また、【遊糸 雲透 〜 KUMOSUKI TEA 〜】は山陰の地で育った濃厚な味わいの紅茶に、包容力が高い秋摘みのネパール紅茶をブレンドしたものです。
日本の紅茶と海外の紅茶をブレンドしているので珍しく、紅茶好きな方への贈り物としてもおすすめですよ。
↓【遊糸 雲透 〜 KUMOSUKI TEA 〜】はこちら↓
https://lemuria-jp.com/products/881221144792
まとめ
今回は、和紅茶の特徴やその魅力について紹介しました。
和紅茶は、品種や生産地による違いはありますが、渋みが少なく、柔らかな口当たりが特徴です。
多くの魅力が秘められた和紅茶を、日々の楽しみのひとつとして、気軽に取り入れてはいかがでしょうか。