鼻水や目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす、つらい花粉症。今や国民病とも言われるほど多くの現代人を悩ませている花粉症が、紅茶やお茶で対策できると聞いたことはありませんか?この記事では、「紅茶・お茶が花粉症を緩和するって本当なの?」「なぜ紅茶やお茶が花粉症に良いと言われているの?」と気になる方のために、紅茶・お茶と花粉症の関係についてわかりやすく紹介していきます。また、花粉症対策におすすめの飲み物や飲み方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
紅茶・お茶で花粉症対策ができる?
紅茶やお茶は、花粉症対策に有効であると言われる成分を含んでいます。一体どのようなメカニズムで花粉症対策になるのか、詳しく紹介していきましょう。
紅茶・お茶に含まれている「カテキン」が花粉症を緩和
紅茶やお茶に含まれている渋味成分で、ポリフェノールの一種である「カテキン」には、アレルギーを抑制する効果があることがわかっています。その効果が、抗アレルギー薬の「トラニラスト」と同程度であることも明らかになっているのです。
飲料水メーカーの伊藤園は、スギ花粉症の症状を持つ成人男女を対象に、6週間カテキン類含有飲料を飲んだグループと、10分の1濃度の同じ飲料を飲んだグループに分けて自覚症状や血液検査などを調査しました。すると、カテキン類含有飲料を摂取していたグループの方が鼻症状や目症状の自覚症状が少なく、実験期間中に日常生活に激しく支障をきたす場合のみ処方された薬の使用頻度も少ないという結果でした。
つまり紅茶やお茶は、飲むことによって花粉症の症状を緩和する働きを持つということなのです。(参照:カテキン類含有飲料が花粉症を緩和 ~通年性アレルギーにも効果~ | 伊藤園 企業情報サイト)
「カテキン」は通年性アレルギーも緩和
カテキンは、スギやヒノキが原因となる花粉症だけでなく、ホコリやダニなどが原因となる通年性アレルギーも緩和することがわかっています。
伊藤園はハウスダストアレルギーを持つ成人男女を対象に、上記の花粉症に対して行ったものと同様の実験を実施しました。すると、カテキン類含有飲料を飲んだグループは鼻や目の症状が緩和され、日常生活への支障度が小さくなるという結果が出たのです。(参照:カテキン類含有飲料が花粉症を緩和 ~通年性アレルギーにも効果~ | 伊藤園 企業情報サイト)
カテキンの花粉症や通年アレルギー抑制効果は、細胞からアレルギー症状の原因であるヒスタミンが放出されるのを抑えるものであり、ヒスタミンの働きを抑制したり自然治癒力を高めたりする対症療法ではありません。つまりカテキンは、抗ヒスタミン薬よりも優れた抗アレルギー作用を発揮できる可能性があると言えます。
完全には予防・改善できない
紅茶やお茶に含まれるカテキンに、花粉症や通年性アレルギーを抑制する効果があると紹介しましたが、花粉症を完治させたり花粉症にならないようにしたり、アレルギー症状を全く起こさないようにさせたりするわけではありません。一説によると、長期にわたって飲用することで抑えられるのは、アレルギー症状の70〜80%だと言われています。また、カテキンを小腸から吸収しにくい体質の人は効果が得られないため注意が必要です。
花粉症対策におすすめの紅茶・お茶
花粉症対策におすすめの「カテキン」は、お茶の品種や栽培条件などによって含有量や種類が異なります。そこでここからは、花粉症対策におすすめの紅茶・お茶を4種類紹介します。
①紅茶
紅茶はカテキンが豊富に含まれており、紅茶特有の茶褐色もカテキンが酵素と結合して生じたものです。紅茶のカテキンは発酵時に酸化重合され、「テアフラビン」や「テアルビジン」などと呼ばれる成分になります。「テアフラビン」や「テアルビジン」は強い抗酸化作用を持つポリフェノールなので、風邪予防にもおすすめです。
②緑茶
紅茶やお茶の中でカテキンの含有量がもっとも高いのが緑茶です。緑茶は「不発酵茶」と呼ばれる発酵させずに作られるお茶なので、加工の過程でカテキンが減少することなくそのまま残っています。緑茶はカテキンを効率よく摂取するのにおすすめの飲み物です。
なかでもアレルギー抑制の高い効果が得られることがわかっている「メチル化カテキン」は、「べにふうき」や「べにほまれ」などの茶品種に多く含まれています。メチル化カテキンは発酵の影響で消失してしまうため、「べにふうき」や「べにほまれ」を緑茶として飲むのがベストだと言えるでしょう。
③烏龍茶
烏龍茶にもカテキンが豊富に含まれています。しかし烏龍茶は「半発酵茶」とも呼ばれ途中まで発酵させて作られるため、緑茶に比べるとカテキンの量は少ないです。その代わりに、発酵時に酸化重合したカテキンは「ウーロン茶重合ポリフェノール」と呼ばれるウーロン茶特有のポリフェノールになり、食後の脂肪吸収を抑える効果が期待できます。
④抹茶
緑茶の葉を細かく砕いて作られる抹茶は、茶葉を粉にして丸ごと飲むため、茶葉の栄養素をそのまま摂取できるのが特徴です。カテキンも豊富に含まれており、緑茶の約2倍とも言われています。お湯で抽出する緑茶には含まれない栄養成分も豊富です。
紅茶・お茶以外で花粉症対策におすすめの飲み物
カテキンを含む紅茶・お茶以外では、コーヒーや乳酸菌飲料、ハーブティーなどが花粉症対策におすすめです。コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」というポリフェノールは、鼻炎症状を緩和するという研究結果が発表されています。また腸内細菌のバランスを整える乳酸菌は、免疫機能を高めるほか、最近では花粉症の症状を緩和する効果も期待できると言われるようになりました。ハーブティーはカテキンを含みませんが、抗酸化作用の高いポリフェノールを含むものが多く、種類によってはアレルギー症状の抑制が期待できます。
花粉症の時には避けたい飲み物
花粉症がつらい時や、花粉症に悩んでいる人は、アルコールを控えることをおすすめします。アルコールが体内で分解される時に産生されるアセトアルデヒドは二日酔いや悪酔いの原因になるほか、アレルギー症状の原因であるヒスタミンの放出を促す作用があると言われているのです。つまり、アルコールを飲むことで花粉症のアレルギー症状が重くなる可能性があります。また、研究結果や論文が発表されているわけではないものの、牛乳はアレルギー疾患を悪化させるという風説もあるため、日常的に飲んでいる人は実験的にやめてみるのもおすすめです。
花粉症対策におすすめの紅茶・お茶の飲み方
最後に、花粉症対策におすすめの紅茶・お茶の飲み方を紹介します。
症状が出る前に飲み始める
花粉症の症状が出てから紅茶やお茶を飲み始めても、花粉症が治ったり効果がすぐに出たりするわけではありません。症状が出る前から飲み始めて、ヒスタミンを抑える必要があります。目安としては花粉症の症状が出るシーズンの1〜2ヶ月前から飲むのがおすすめです。
日常的に飲む
紅茶やお茶を飲むのを習慣化して、日常的に飲むことも大切です。花粉症がつらいからといって一杯飲んだだけでは症状の緩和は期待できません。ただし紅茶やお茶を飲み過ぎるとカフェインや水分の過剰摂取により体調を崩す可能性があるため、適量にしましょう。カフェイン量から考えた場合、緑茶で1日10杯くらいまでに抑えるのがおすすめです。
飲み物だけでなく、食生活も意識する
前述した通り、紅茶やお茶が花粉症を完全に予防・改善できるわけではありません。薬なども適切に活用しながら、食事も意識することも大切です。花粉症対策におすすめの食事は、乳酸菌を含む食べ物や、免疫機能を高めるカカオポリフェノールを含むチョコレート、ヒスタミンの働きを抑えるDHAを含む青魚などがあります。健康的でバランスの良い食生活を意識していきましょう。
紅茶&お茶で手軽に花粉症対策をしよう
紅茶・お茶と花粉症の関係や、花粉症対策となるメカニズム、おすすめの飲み方などを紹介しました。紅茶やお茶といった身近な飲み物を飲むだけで花粉症の症状を緩和できるなら、試してみたいと思った方も多いのではないでしょうか。ただし即効性があるわけではないため、日常的に取り入れていくことをおすすめします。本記事を参考にして、紅茶やお茶を花粉症対策のひとつとして生活に取り入れてみてくださいね。